臨時記号のスタック
単一の声部における和音、または同じ位置にある複声部の音符に対し複数の臨時記号が必要な場合、臨時記号は和音の左側に複数の列にスタックされます。
複数の臨時記号を持つ和音では、臨時記号は通常以下のようにスタックされます。
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一番上の臨時記号は 1 列目、音符のすぐ左側に配置されます。
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一番下の臨時記号は、1 番めの臨時記号と重ならない限りは、同じ列に追加されます。
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残りの臨時記号は、和音のさらに左に位置する連続した列に交互に追加されます。
Dorico Pro には、列をできるだけ増やさずに臨時記号をスタックするための追加ルールが設定されています。以下に、追加ルールの一部を例示します。
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音符に近い列ほど、音符から遠い列より多くの臨時記号を含む。
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1 オクターブ離れた音符同士の臨時記号は同じ列にスタックされる。これは、臨時記号の組み合わせにより、6 度以上離れた臨時記号にも適用される。
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同じ列の臨時記号は重なってはいけない。重ならないようにするために必要な臨時記号間の最小間隔は、臨時記号の種類によって異なる。
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2 度離れた臨時記号は隣接する列に配置され、右側の列に高音の臨時記号が配置される。
これらのルールにより、連続する音符や和音の間に必要なスペースが最小限となり、臨時記号がそれぞれの属する符頭に可能な限り接近した状態で表示されます。同時に、臨時記号は和音の左側で C のようなカーブを描くように配置されます。
密集和音における臨時記号のスタックのルール
Dorico Pro は、多数の臨時記号を伴う密集和音においては、可読性を確保するために、スタックに特別な計算を使用します。密集和音とみなされるのは、オクターブの範囲に 6 つ以上の臨時記号が存在する和音です。
密集和音においては、臨時記号は以下のようにスタックされます。
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一番上にある臨時記号が音符左の最初の列に配置されます。
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次に、一番上の音符より 7 度以上低い位置の音符の臨時記号が同じ列にスタックされます。残りの音符に対しても、1 列目に入る臨時記号がなくなるまでこれを繰り返します。
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以降の列についても、すべての臨時記号がスタックされるまで手順 1 と 2 を繰り返します。
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列がグループ化され、散りばめられ、再度スタックされます。これにより、調号で臨時記号を配置するときと同様の、臨時記号が交互に配置されたスタックが作成されます。
Dorico Pro の初期設定では、密集和音の臨時記号に使用されるのは格子状配列で、標準のジグザグ配列ではありません。非常に密集度の高い和音では、格子状配列の方が幅が広くなり、列を多く必要とする場合があります。
臨時記号のスタックのデフォルト設定をプロジェクト全体でカスタマイズするには、「浄書オプション (Engraving Options)」の「臨時記号 (Notes)」ページにある「スタック (Stacking)」セクションで設定を行ないます。たとえば、臨時記号を散りばめることなくスタックし、左下がりの斜線状に表示できます。