音符ツールのポップオーバー

音符ツールのポップオーバーでは、既存の音符の上下への音符の追加、既存の音符の移調、および選択した音符のピッチやリズムの変換を行なえます。

「上/下に音符を追加 (Add Notes Above or Below)」「移調 (Transpose)」「ピッチを反転および転回/リズムを反転 (Reverse and Invert Pitches/Reverse Rhythms)」「ピッチをローテート/リズムをローテート (Rotate Pitches/Rotate Rhythms)」「ピッチをマッピング (Map Pitches)」「スケールをマッピング (Map Scale)」「ピッチを繰り返し (Repeat Pitches)」の各ダイアログで提供される機能の多くは、キーボードから直接アクセスできます。

記譜モードでは、音符の選択時 (音符入力中も含む) に以下のいずれかの操作を行なって、音符ツールのポップオーバーを開くことができます。

  • [Shift]+[I] を押します。

  • 記譜ツールボックスで「ポップオーバー (Popovers)」 「ポップオーバー (Popovers)」ボタン をクリックし、「音符ツール (Note Tools)」 「音符ツール (Note Tools)」ボタン をクリックします。

  • 「記譜 (Write)」 > 「音程を追加 (Add Intervals)」を選択します。

ポップオーバーの左側に表示されたアイコンが、ウィンドウの右側にある記譜記号ツールボックスの対応するボタンと一致します。

1. エントリーの例が入力された音符ツールのポップオーバー
2. 記譜ツールボックスの音符ツールボタン

以下の表は、選択範囲の変換、音符の移調、または既存の音符の上/下への音符の追加を行なうために、音符ツールのポップオーバーに入力できるエントリーの例です。

音程

音程または性質

ポップオーバーエントリー

音程の度数

ユニゾン、2 度、3 度、4 度、5 度~ 2 オクターブまで

1」、「2」、「3」、「4」、「5」~「15」まで

メジャー

M」、「maj」、または「major

マイナー

m」、「min」、または「minor

完全

p」、「per」、または「perf

ディミニッシュ

d」、「dim」、または「diminished

オーギュメント

a」、「aug」、または「augmented

全音階

diat」または「diatonic

あらゆる調性システムにおける [n] 個のオクターブ分割

[n] d」、「[n] div」、または「[n] divisions

12-EDO における [n] 個の半ステップ (半音)

[n] s」、「[n] st」、「[n] semi」、または「[n] semitones

24-EDO における [n] 個の 1/4 音

[n] q」、「[n] qt」、または「[n] quartertones

補足
  • 5 8 div のように、指定したオクターブ分割の総数の前に、音程の度数を含める必要があります。これらを組み合わせることで、音符名と臨時記号を任意に指定できます。

  • メジャーとマイナーを意味する「M」と「m」のエントリーは、大文字と小文字が区別されます。

音符の追加

追加のタイプ

ポップオーバーエントリー

3 度上に音符を追加

3」または「3rd

4 度下に音符を追加

-4」または「-4th

5 度上の音符名を使用して、オクターブ分割 [n] 個分上に音符を追加

5 8 div」 (あらゆる調性システム)

5 8 st」 (12-EDO)

5 16 qt」 (24-EDO)

6 度下の音符名を使用して、オクターブ分割 [n] 個分下に音符を追加

-6 9 div」 (あらゆる調性システム)

-6 9 st」 (12-EDO)

-6 18 qt」 (24-EDO)

複数の音符を含む和音を追加

3,6」または「-3,3,4

和音の一番上の音符にのみ音符を追加

top

和音の一番下の音符にのみ音符を追加

bottom

補足
  • 複数の音符を追加する場合は、音符はスペースではなくコンマで区切る必要があります。

  • 音程の性質を指定しない場合、音程の度数はその位置で有効な調号に従います。たとえば C メジャーで「3」と入力して D の上に 3 度を追加した場合、追加される音符は F になります。音程の性質を指定するには、「maj3」のように音程の度数の前に記入します。

  • 選択した和音の最低音の長 2 度下と短 3 度上に音符を追加するには、「-M2,m3 bottom」と入力します。

  • 24-EDO で C の上に G を追加するには、「5 16 qt」と入力します。

移調

移調の例

ポップオーバーエントリー

音符を上に 3 度移調

t3

音符を下に 6 度移調

t-6

5 度上の音符名を使用して、オクターブ分割 [n] 個分上に音符を移調

t 5 8 div」 (あらゆる調性システム)

t 5 8 st」 (12-EDO)

t 5 16 qt」 (24-EDO)

6 度下の音符名を使用して、オクターブ分割 [n] 個分下に音符を移調

t -6 9 div」 (あらゆる調性システム)

t -6 9 st」 (12-EDO)

t -6 18 qt」 (24-EDO)

24-EDO で C を 1/4 音 9 個分上に移調するには、E に「t 3 9 qt」、F に「t 4 9 qt」と入力します。

転回

転回のタイプ

ポップオーバーエントリー

選択の最高音と最低音の範囲でピッチを転回

inv」、「invert」、「inversion」、または「mirror

転回の中心になるピッチを指定

たとえば C4、E4、F5、G6 など

C4」、「eb4」、「F5」、「g#6」など

転回の中心になるオクターブの分割を指定

たとえば、24-EDO の D4 または A5

d1/24 4」または「A-3/24 5

その位置で有効なキーのルートを転回の中心になるピッチに指定

補足

オープンキーまたは調号のない楽譜では C が使用されます。

root

最初の音符を転回の中心になるピッチに指定

first

最初の和音の一番上の音符を転回の中心になるピッチに指定

top

最初の和音の一番下の音符を転回の中心になるピッチに指定

bottom

全音階による転回

diatonic」または「diat

半音階による転回

chromatic」または「chrom

E4 を中心にピッチを転回するには、「inveb4」と入力します。

反転

反転のタイプ

ポップオーバーエントリー

ピッチとリズムを含めて選択を反転

retrograde」、「ret」、「reverse」、または「rev

ピッチのみ指定

pitch」または「pt

リズムのみ指定

rhythm」または「rm

ピッチを反転および転回

ヒント

転回に追加の指定も含められます。

ret invert」、「rev inv」など

選択と同じプレーヤーに属する追加のアイテムを含める

player

選択と同じ声部に属するアイテムのみ含める

voice

選択した声部のみでピッチとアイテムを反転させるには、「rev pt voice」と入力します。

回転

回転のタイプ

ポップオーバーエントリー

ピッチとリズムを含めて選択を回転

rotate」または「rot

ピッチのみ指定

pitch」または「pit

リズムのみ指定

rhythm」、「rhy」、または「rm

前方へのステップ数を指定

1」、「2」、「3」、「4」など

後方へのステップ数を指定

-1」、「backwards 2」、「bw 3」、「prev 4」など

選択した音符のリズムのみ後方に 3 ステップ分回転させるには、「rot rm bw 3」と入力します。

繰り返し

繰り返しのタイプ

ポップオーバーエントリー

選択範囲にわたって選択のうち最初の 2 音のピッチを繰り返す

repeat 2 pitches

選択範囲にわたって選択のうち最初の 8 音のピッチを繰り返す

repeat 8 pitches

このリストにはすべてのエントリーが含まれているわけではなく、繰り返すピッチの数は自由に設定できます。このリストは、エントリーをどのように構成するかを示すことを目的としています。

ピッチのマッピング

ピッチのマッピングのタイプ

ポップオーバーエントリー

変換元と変換先のピッチを指定

たとえば C4 を E4 に、F4 を G4 に、A4 を B4 にマッピングする場合。

補足
  • 変換元と変換先のピッチはイコールサイン、ピッチのペアはコンマで区切ります。

  • オクターブ番号はオプションです。

c4=eb4,f4=g4,a4=bb5

指定した音符の異名同音を含める

音名とオクターブ (指定している場合) の後に「*

変換先のピッチを変換元のピッチより高く指定

up

変換先のピッチを変換元のピッチより低く指定

down

A と、B などの異名同音をそれより低い G にマッピングするには、「a#*=Gdown」と入力します。

スケールのマッピング

スケールのマッピングまたはスケールのタイプ

ポップオーバーエントリー

スケールのマッピングの構造

[変換元のスケール] to [変換先のスケール]」 (例: 「c M to c m」または「Fmin to Dmaj」)

変換元のスケールの構成音ではないピッチを変換先のスケールの音程的に最も近いピッチにスナップ

snap

ピッチを上にスナップすることを指定

up」または「higher

ピッチを下にスナップすることを指定

down」または「lower

指定したスケールに合わせて音符を書き換え

spell [スケール]」 (例: 「spell Cmaj」)

指定したスケールに音符をスナップ

snap [スケール]」 (例: 「snap cmin」)

スケールのルート

「c」「Db」「e」「f#」「g」など

オルタレーション

#4」、「b6」など

メジャー

maj」または「M

マイナー

min」または「m

イオニアンメジャー

ion maj」または「ion M

ハーモニックマイナー

harm m」または「hmc min

メロディックマイナー (上行)

me m」または「mdc min

ドリアン

dor」または「drn

フリジアン

phryg」、「phry」、または「phr

リディアン

lyd

ミクソリディアン

mixlyd」、「mlyd」、「mixo」、「mix」、または「ml

エオリアンまたはナチュラルマイナー

aeol m」、「aeo m」、「aln min」、または「nat min

ロクリアン

loc

スーパーロクリアン (オルタードスケール)

super loc」、「sup loc」、または「spr loc

メジャーペンタトニック

pent maj」、「5tonic M」、または「5ton M

マイナーペンタトニック

pent min」、「5tonic m」、「5ton m

メジャーブルース

blue maj」または「bls M

マイナーブルース

blue min」または「bls m

ホールトーン

wholetone」、「whole-tone」、「wtone」、「wton」、「whole」、または「wt

ハーフホールディミニッシュ

half whole dimin」、「halfwhole dimin」、「hw dim」、「half-tone dimin」、「half tone dimin」、「halftone dimin」、「htone dim」、「hton dim」、「half dim」、または「ht dim

ハーフホールオクタトニック

half whole octa」、「halfwhole octa」、「hw oct」、「half-tone octa」、「half tone octa」、「halftone octa」、「htone oct」、「hton oct」、「half oct」、または「ht oct

ホールハーフディミニッシュ

whole half dimin」、「wholehalf dimin」、「wh dim」、「whole tone dimin」、「whole-tone dimin」、「wholetone dimin」、「wtone dim」、「wton dim」、「whole dim」、または「wt dim

ホールハーフオクタトニック

whole half octa」、「wholehalf octa」、「wh oct」、「whole tone octa」、「whole-tone octa」、「wholetone octa」、「wtone oct」、「wton oct」、「whole oct」、または「wt oct

ロクリアン 7 またはハーモニックメジャーモード 7

loc maj mode7」または「harm M mod7

スーパーロクリアン 7 またはハーモニックマイナーモード 7

sup loc min mode7」または「spr loc m mod7

補足
  • me min」、「me m」、「mdc min」、「mdc m」のように、スケールタイプのエントリーは自由に組み合わせて入力できます。

  • メジャーとマイナーを意味する「M」と「m」のエントリーは、大文字と小文字が区別されます。

  • c M」のように、ルートは「M」や「m」とスペースで区切る必要があります。

範囲選択内のすべての F を E に書き換え、A を A にスナップさせるには、「spell snap Cmaj」と入力します。