フィルムダビングステージの同期設定
フィルムダビングステージ (ダブステージ) とは、サラウンド設備を備えた劇場などで公開される映画の最終ミックスダウン作成に使われる、劇場サイズのスタジオです。このタイプのスタジオでは複雑なシステム構成が組まれています。ハイクオリティーのビデオや映画の再生システムと共に大規模なミキシングコンソールを使って同時に数百のオーディオトラックを操作できるようになっています。
以下の例では、Nuendo は大規模なシステムを構成する要素のひとつにすぎません。このシステムでは多数のデバイスを完璧なタイミングで同期する必要があります。外部のマスター 9 ピンコントローラーが、そのコンソールからシステム全体のトランスポート機能を操作します。タイムコードは 9 ピンインターフェース経由で SyncStation が担当します。オーディオクロックは、SyncStation に送られる Tri-Level HD ビデオ同期信号をリファレンスとして、SyncStation が専用のワードクロックを Nuendo とデジタルコンソールに対して出力するものとします。
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オーディオクロックはビデオリファレンス信号から生成されます。
ここでは、SyncStation に送るビデオ同期信号を速度のリファレンスとしても位相 (フェーズ) のリファレンスとしても使用します。SyncStation からはワードクロック信号が Nuendo とデジタルコンソールに送られます。
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コンソールはマシンコントロールのマスターで、9 ピンコントロールコマンドとステータスメッセージを SyncStation に送信します。
コンソールは SyncStation 経由で Nuendo 内の再生を制御します。Nuendo はタイムコードスレーブになります。SyncStation はマシンコントロールスレーブとして動作します。
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タイムコードは 9 ピン経由で SyncStation に送信され、そこから USB 接続経由で Nuendo に (MTC として) 送られます。
SyncStation の 9 ピンインターフェースは、9 ピンタイムコードを効果的に利用して正確な同期を行なうことができます。SyncStation を通さずに直接、シリアルポートの 9 ピン接続を使っても同じ効果は得られないので注意してください。
この例のシステム構成用に Nuendo を設定するには以下の手順で操作してください。
手順
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図のようにデバイスを接続します。
ここでは同期プロセス全体のなかで SyncStation が大きな役割を果たします。SyncStation の操作や設定の詳細については、SyncStation のマニュアルを参照してください。
- を選択します。
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「ソース (Sources)」ページの「タイムコードソース (Timecode Source)」セクションで、「Steinberg SyncStation」をオンにします。
SyncStation は USB 接続経由で Nuendo に MTC を送信します。SyncStation は「Virtual Master」モードでタイムコードを生成します。
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「マシンコントロール (Machine Control)」ページを開き、「マシンコントロール入力ソース (Machine Control Input Source)」セクションで「Steinberg SyncStation」をオンにします。
SyncStation が録音とトラックアーミングのコマンドを Nuendo にルーティングするよう設定すると、デジタルコンソールから SyncStation に 9 ピンコマンドを送ることで、Nuendo のオーディオトラックを録音可能にセットしたり、録音モードをオンにしたりできます。
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トランスポートパネルで、「同期 (Sync)」をオンにします。
Nuendo は SyncStation からタイムコードが入力されるまで待機状態に入ります。
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コンソール上の「録音可能 (record-enable)」ボタンをテストしてみます。
設定が適切であれば、Nuendo の該当するオーディオトラックが録音可能モードになります。
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コンソールにあるトランスポートコントロールで再生を開始します。
9 ピン経由で SyncStation に再生コマンドが送信され、SyncStation がタイムコードを生成しはじめると Nuendo がそれに同期します。