「AudioWarp」セクション

このセクションでは、サンプルゾーンでオーディオにタイムストレッチやフォルマントシフトを適用できます。

Mode

「Mode」ポップアップメニューでは、オーディオワープ機能に使用するモードを選択します。

  • 「Off」は、「AudioWarp」セクションを無効にします。

  • 「Solo」では、タイムストレッチおよびフォルマントシフトのパラメーターを使用できます。このモードは、ソロの楽器およびボーカルに適しています。ソロは非常に有用で、ポリフォニック再生にも対応しています。

    「Solo」モードをオンにすると、サンプルのピッチが分析され、サンプルをプリセットで使用する場合など、サンプルを素早くリロードできるようにする目的でピッチデータが保存されます。サンプルのサイズによって、分析処理に時間がかかる場合があります。

    補足

    サンプルが変更されると、再度ピッチが分析され、データが更新されます。

  • 「Music」では、タイムストレッチのパラメーターを使用できます。このモードは、ドラムループやミックスされた音楽サンプルなどの複雑な素材に適しています。「Solo」モードよりもはるかに多くの CPU を使用するため、モノフォニック再生に適しています。サンプルに適用するストレッチが大きくなるほど、CPU の負荷も高くなります。

    「Music」モードは、モノサンプルとステレオサンプルのみに使用できます。マルチチャンネルサンプルを処理した場合、左右のチャンネルのみストレッチされ、残りのチャンネルはオフになります。

Time Stretching On/Off

このボタンをオンにすると、サンプルのテンポと長さを変えずにルートキーとは異なるピッチで再生できます。

「Music」モードでは、サンプルのルートキーの -24 から +24 半音の範囲に移調が制限されます。この範囲外でノートを発音すると、最も高いノートと最も低いノートがそれぞれ使用されます。これはピッチモジュレーションについても同様です。-24 から +24 半音の範囲外に設定すると、モジュレーションにクリッピングが生じる原因となります。

Legato

この機能を使用すると、たとえばボーカルサンプルを合唱に変えることができます。「Legato」ボタンをオンにすると、サンプルを再生しながらボイスをさらに追加できます。これらのボイスは現在の再生位置に挿入され、すべてのボイスが同時に再生されます。レガートを再生するとサンプルは連続して再生され、サンプルを再生しなおすことなくコードを変更できます。

追加したボイスのアタック部分などにクリックが発生する場合があります。これはサンプルの途中から再生が開始されるためです。これは、ボリュームエンベロープのアタックタイムを増やすことで解決できます。

補足

「Legato」は単一のサンプルゾーンでのみ機能し、複数のサンプルゾーンをまたいで設定することはできません。

Sync Mode

「Sync Mode」は、サンプルの再生速度とホストアプリケーションのテンポを一致させるために使用します。

  • 「Off」を選択した場合は、再生速度を手動で設定します (パーセント単位)。

  • 「Tempo」を選択すると、サンプルのオリジナルテンポとホストのテンポの比率を使用して再生速度を計算します。

  • 「Beats」を選択すると、拍子のノートの長さ、拍子の数、およびホストのテンポを使用して再生速度を計算します。

「Sync Mode」が適切に機能するためには、サンプルのループが正しく設定されている必要があります。「Tempo」モードでは、オリジナルのテンポをできる限り正確に設定する必要があります。

ファイルのヘッダーにテンポ情報を含むサンプルをロードした場合、パラメーター「Original Tempo」「Note Length」、および「Number of Beats」は、この情報を使用して設定されます。サンプルにテンポ情報が含まれていなければ、これらの数値は概算されます。

補足

これらのパラメーターの数値はいつでも手動で変更できます。

Speed

サンプルの再生速度を調節します。オリジナルの最大 800% までテンポを速めることができます。

「Music」モードで設定できる最も低い再生速度は 12.5% です。これより低い数値に設定しても効果はありません。

Orig BPM

「Sync Mode」「Tempo」に設定した場合、サンプルのオリジナルテンポを 1 分あたりの拍数 (BPM) で入力できます。ホストアプリケーションのテンポに一致するように、サンプルの再生速度が調整されます。

「Note Length」と「Number of Beats」

「Sync Mode」「Beats」に設定した場合、入力したノートの長さと拍子の数に基づいてサンプルのテンポが算出されます。

たとえば、サンプルが 4 つの 4 分音符を含むドラムループの場合、「Note」を 1/4 に、「Beats」を 4 に設定します。ホストのテンポに一致するように、サンプルの再生速度が調整されます。

AudioWarp Key Follow

MIDI ノートナンバーを使用して、タイムストレッチモジュレーションを調整します。

正の値を設定すると、発音するノートが高くなるほどサンプルの再生速度が速くなります。負の値を設定すると、発音するノートが高くなるほど再生速度が遅くなります。

Center Key

「AudioWarp Key Follow」で中央位置として使用される MIDI ノートを指定します。

Formant Shift On/Off

フォルマントシフトを使用すると、サンプルにピッチシフトをかけるときに発生する、いわゆるミッキーマウス効果を避けることができます。この機能は、人間の声またはアコースティック楽器のサンプルに特に有効です。

補足

「Formant Shift」オプションは、「Solo」モードにのみ利用できます。

Formant Shift

フォルマントシフトの量を指定します。

Formant Shift Key Follow

フォルマントがピッチに追従する程度を設定します。ピッチシフトによって生じるミッキーマウス効果を最小限に抑えるには、正の値を使用します。

Minimum Grain Size

複雑な素材を使用する場合、粒度を大きくすることで優れた音質を得られる場合があります。この設定が高いほどピッチ検出の精度が低くなります。ピッチ検出は、ピッチの誤りを回避するのに役立ちます。

また、このパラメーターを使用して魅力的なエフェクトを試したり、生成したりできます。

補足

「Solo」モードにのみ利用できます。

Transient Detection

トランジェント検出のスレッショルドを設定します。値を高くすればするほど、より多くのトランジェントが検出されます。このパラメーターを調整すると、トランジェントがよりくっきり聴こえる場合があります。

補足

「Solo」モードにのみ利用できます。