タイ

タイとは、同じピッチの 2 つの音符をつなぐ曲線です。音符がその位置に適用される拍子記号の 1 小節のデュレーションよりも長い場合、Dorico SE ではそれらの音符が自動的にタイのつながり、つまりタイで連結された隣接する音符のシーケンスとして表示されます。

一連のタイのつながりは、それを構成するのが 2 つの音符であろうと 10 個の音符であろうと、タイで連結されたすべての音符を合計したデュレーションの 1 音を意味します。演奏者はこの音符を 1 音として演奏し、タイのつながりのデュレーションの途中で一切の打ち直し、吹き直し、弾き直しは行ないません。

1. ピアノ譜の下段の複数小節にわたるタイのつながり

タブ譜では、タイは、それ以降の小節の音符またはコードを囲む丸括弧として自動的に記譜されます。タブ譜にリズムが表示されている場合、同じ小節内のタイは括弧付きの符頭ではなく符尾で示されます。

2. 小節内にいくつかのタイがあり、2 つの小節をまたいでタイでつながれたコードがあるタブ譜のフレーズ
3. 音符の譜表での同じフレーズ

Dorico SE では、ほとんどのタイは自動的に作成されます。リズムの記譜は、通常拍子記号により設定される一般的な拍グループに従います。そのため、単一のデュレーションで表記できない音符は自動的にタイのつながりとして記譜されます。たとえば、4/4 拍子の開始位置に付点全音符を入力した場合、この音符は自動的に全音符と次の小節の 2 分音符がタイでつながれた形で記譜されます。拍子記号が変更された場合は、新しい拍子で正しい拍数が維持されるようにタイのつながりが自動的に調整されます。

Dorico SE では、衝突を回避するために、前後関係に応じてタイの適切なエンドポイントの位置とカーブ方向が自動的に決定されます。

補足
  • スラーをタイと混同しないよう注意してください。見た目は似ていますが、タイは同じピッチの音符を一息で演奏することを示します。そういった意味でタイはリズム記号として、スラーはアーティキュレーションとして捉えることができます。

  • タイのつながりは単一の音符と見なされるため、記譜モードでは、タイのつながり全体のみを選択できます。ピッチの変更など、記譜モードでタイのつながりに対して行なった編集はタイのつながりに含まれるすべての音符に影響しますが、タイのスタイルを破線に変更するなどの変更は、そのつながりの最初のタイにのみ影響します。ただし、キャレットを有効にしてタイのつながりの中の必要な位置に移動すれば、強弱記号などの記譜記号をタイのつながりの途中に入力することもできます。

  • 既存の音符をタイでつなぐと、楽譜の前後関係、拍子記号、小節内の音符の開始位置に応じて、タイのつながりの中で音符が統合されたり分割されたりする場合があります。

  • アーティキュレーションは、その種類に応じてタイのつながりの開始位置または終了位置に 1 度だけ表示できます。たとえば、スタッカート記号は終了位置に表示され、アクセント記号は開始位置に表示されます。タイのつながりに対するアーティキュレーションの位置は、個々のタイのつながりにおいて変更できます。