テンポ記号

テンポ記号は楽譜を演奏する速さを示し、多くの場合テキストによる指示とメトロノームマークの組み合わせで表示されます。これはまた⁠テンポ変更⁠⁠テンポ指示⁠などとも呼ばれます。

テンポ記号はテキストによる指示、メトロノームマーク、または両者の組み合わせで表示されます。

1. フランス語によるテキスト指示とメトロノームマークからなるテンポ記号

テキストによる指示は伝統的に、largoallegretto などのイタリア語で表現されますが、英語、フランス語、ドイツ語など他の言語の使用も広く受け入れられるようになっています。テキストによる指示は単に楽曲を演奏する速さを表現するだけの場合もありますが、その性質を表わす場合もあります。たとえば、grave は遅さとともに重々しさや悲しさの表現を意味し、vivo は速さとともに陽気さや快活さの表現を意味します。

メトロノームマークは楽曲を演奏する速さを表わし、1 分あたりの拍数、または「⁠bpm⁠」で表示されます。メトロノームマークは固定の bpm を表示する場合と、可能または許容される値の範囲を示す場合があります。

段階的テンポ変更は、指定された時間範囲で行なわれるテンポ変更を示します。たとえば、延長線が付くものや付かないもの、テキストが音節で分かれてデュレーションにわたって広がるものなど、さまざまな形で表現されます。

テンポ記号はポイントサイズの大きい太字フォントを使用するため、ページ上ではっきりと目立ちます。通常、テンポ記号に斜体フォントは使用されません。

Dorico SE では、テンポ記号は組段オブジェクトに分類されます。そのため、テンポマークは組段オブジェクトの表示と配置に関するレイアウトごとの設定に従います。

初期設定では、入力したテンポ記号によって再生と MIDI 録音のテンポが設定されますが、たとえば MIDI 録音時に単一の固定テンポを使用したい場合などはテンポモードを変更できます。段階的テンポ変更は再生テンポにも影響し、たとえば最終的に特定の bpm に到達する必要がある場合には、段階的テンポ変更の終了位置の最終的なテンポを変更できます。プロジェクトに一切のテンポ記号を入力しなかった場合、デフォルトの再生テンポは 120bpm になります。