ハープのペダリング

ハープのペダリングとは、ハープの楽譜を記譜するための特定の要件を指す幅広い用語です。これは主に、近代的なコンサートハープのチューニングを変更するために必要となることが多いハープペダルダイアグラムについて使われます。

1. 開始位置にフルハープペダルダイアグラムが表示され、そのあとに部分的なペダル変更が 2 つ表示された楽節

各オクターブに 12 個 (C から B の間の各半音階に 1 つずつ) の鍵盤があるピアノとは異なり、ハープには各オクターブに 7 本 (C から B の間の各全音階ピッチに 1 本ずつ) の弦があります。そのため、ハープではチューニングを変更するために、7 つのペダルを使用して機械的操作を行ないます。この操作では、すべてのオクターブの対応する音符のピッチを各ペダルで制御します。これらのペダルは 2 つのグループにまとめられており、3 つのペダルが左足に、4 つのペダルが右足にそれぞれ割り当てられています。

各ハープペダルには 3 つの位置があります。

  1. フラット (最も高い位置): 対応する音符のピッチを半ステップ下げる

  2. ナチュラル (中間の位置)

  3. シャープ (最も低い位置): 対応する音符のピッチを半ステップ上げる

補足

ハープの最も低い 2 本の弦 (C と D) は、C と D のペダル位置の影響を受けません。

楽譜、または楽譜内の楽節に必要なペダル設定を記譜する方法はいくつかあります。Dorico SE では、ハープのペダリングを以下の方法で表示できます。

ダイアグラム

7 つのペダルの物理的な位置を示します。縦線は左足ペダルと右足ペダルを分割するもので、横線はナチュラルポジションを表わしています。

  • 横線の下のペダルはシャープが付いた音符を示します。

  • 横線の上のペダルはフラットが付いた音符を示します。

音名

7 つの全音階ピッチに必要な臨時記号を 2 行に配置して表示します。右足ペダルは上の行に、左足ペダルは下の行に表示されます。

入力したピッチが現在のハープペダルダイアグラムに一致しない場合、そのピッチは範囲外であると見なされ、範囲外の音符に色を表示した場合には、そのピッチが赤で表示されます。ハープのペダリングを入力しなかった場合、すべてのハープペダルはナチュラル設定と見なされ、C メジャーになります。

Dorico SE では、演奏技法のポップオーバーを使用してハープペダルダイアグラムを入力でき、楽譜全体のフローまたは特定の楽節をもとに正確なハープペダルダイアグラムを自動的に生成できます。ただし、ハープペダルダイアグラムを入力して表示できるのはハープ楽器に属する譜表だけです。ハープの譜表から別の楽器の譜表に楽譜をコピーすると、ハープのペダリングは自動的に削除されます。

初期設定では、ハープのペダリングはフルスコア/カスタムスコアのレイアウトには表示されず、パートレイアウトには表示されます。ハープのペダリングが非表示になっているレイアウトでは、ハープペダルダイアグラムの位置にガイドが表示されます。ハープのペダリングはレイアウトごとに個別に表示/非表示を切り替えられ、またハープのペダリングを表示するレイアウトでは、ハープペダルダイアグラムを個別に非表示にできます。一度に 1 つのペダルだけを変更する必要がある場合など、部分的なハープのペダリングをいつ表示するかを設定することもできます。

Dorico SE のハープペダルダイアグラムは、グリッサンドラインで演奏されるピッチに影響します。