ギターベンド

ギターベンドはエレキギターで一般的に使用される演奏技法で、演奏者は弦に力を加えて通常の位置からずらします。ベンドさせると弦の張りが強くなり、特有のピッチの変動が得られます。

音符を演奏したあとに弦をベンドするギターベンドに加え、Dorico Pro ではギタープリベンドもサポートされています。ギタープリベンドは音符を演奏する前に弦をベンドするため、音符の開始時点ではピッチは変化しません。

ギターベンドの演奏では、多くの場合、ベンドがかかったピッチをしばらく保持したあとで、弦を通常の位置 (ベンドがかかってないピッチ) に戻します。Dorico Pro では、これらの動作をそれぞれ⁠ギターベンドホールド⁠⁠リリース⁠と呼びます。

1. 音符の楽譜とタブ譜の両方で表示された、ギターベンド、ギターベンドホールド、ギタープリベンド、リリースを含むフレーズ
ギターベンド

ギターベンドは、鳴っている音符のピッチを上げるために、音符を演奏したあとで弦をベンドするよう演奏者に指示するものです。Dorico Pro では、ギターベンドは開始ピッチとベンドのピークのピッチを表わす 2 つの音符を結合します。

音符の譜表では、ギターベンドは開始位置と終了位置の符頭の間に斜めの線を使って記譜されます。タブ譜では、先端が矢印になった上向きの曲線を使って記譜され、矢印の上にベンドの音程を表わすテキストまたは数字/分数が表示されます。終了位置の音符のフレット番号は自動的に非表示になります。

2. 音符の譜表のギターベンド
3. タブ譜のギターベンド

連続するギターベンドのシーケンスがタブ譜上にベンドランとして記譜されます。

4. タブ譜のギターベンドラン
ギターベンドホールド

ギターベンドホールドは、ギターベンドのピークのピッチを保持するよう演奏者に指示するものです。通常はタイでつながれた音符に表示されます。

タブ譜では、横線を使って記譜されます。ギターベンドホールドは音符の譜表には記譜されません。

5. タブ譜のギターベンドホールド
リリース

リリースは、ベンドした弦を通常の位置に戻すことでピッチを下げるよう演奏者に指示するものです。Dorico Pro では、リリースはベンドのピークのピッチと終了ピッチを表わす 2 つの音符を結合します。

音符の譜表では、リリースは開始位置と終了位置の符頭の間に斜めの線を使って記譜されます。タブ譜では、先端が矢印になった下向きの曲線を使って記譜され、矢印の下に終了ピッチを表わすフレット番号が括弧付きで表示されます。開始位置の音符のフレット番号は自動的に非表示になります。

6. 音符の譜表のリリース
7. タブ譜のリリース
補足

リリースとギターベンドは同じ方法で入力するため、本書では、プロジェクト内のギターベンドアイテムとリリースアイテムの両方を⁠ギターベンド⁠と表わします。

ギタープリベンド

ギタープリベンドは、たとえば前のギターベンドの終了位置の音符を繰り返す場合など、最初から高いピッチで音が鳴るように、音符を演奏する前に弦をベンドするよう演奏者に指示するものです。Dorico Pro では、ギタープリベンドは単音に適用されます。

音符の譜表では、ギタープリベンドは開始位置と終了位置の符頭の間に斜めの線を使って記譜されます。ただし、ギターベンドとは異なり、開始位置の補助符頭がプリベンドの一部として自動的に括弧付きで表示されます。タブ譜では、先端が矢印になった縦線を使って記譜され、矢印の上にプリベンドの音程を表わすテキストまたは数字/分数、縦線の下に開始ピッチを表わす小さなフレット番号が表示されます。

8. 音符の譜表のギタープリベンド
9. タブ譜のギタープリベンド
ベンドの音程

ベンドの音程は、ピッチの変化を 1 ステップに対して相対的に表わしたものです。たとえば、「full」は 1 ステップ、「1/2」は半ステップ、「1 1/2」はマイナー 3 度のギターベンド/プリベンドをそれぞれ表わします。

10. 2 種類の音程 (「1 1/2」「full」) のプリベンドを表わしたフレーズ
補足
  • ギターベンド、リリース、プリベンドは現在のところ再生には反映されません。これは将来のバージョンでサポートされる予定です。

  • 初期設定では、単一の声部の符尾、符尾の符鉤、および連桁は符尾が上向きの状態でタブ譜に表示されるため、ギターベンドと重なることがあります。そのため、タブ譜にギターベンドとリズムの両方を表示するプロジェクトについては、「浄書 (Engrave)」 > 「浄書オプション (Engraving Options)」「タブ譜 (Tablature)」ページにある「符尾のデフォルトの向き (Default stem direction)」「下 (Down)」に変更することをおすすめします。