ピッチをデュレーションの前に指定して音符を入力する

ピッチをデュレーションの前に指定してプロジェクトに音符を入力できます。これはつまり、音符の入力を中断することなく音符の入力前にピッチをテストできることを意味します。音符を入力するには、コンピューターキーボードまたはマウスを使用するか、MIDI キーボードで音符を演奏します。

Dorico Pro の初期設定では、音符のデュレーションをピッチの前に指定する必要があります。

補足
  • これらの手順は、音符を入力する際にデュレーションの前にピッチを選択する方法を説明しています。ただし、Dorico Pro のデフォルトの音符入力動作であるデュレーションをピッチの前に指定することもできます。

  • これらの手順は、音符を入力する前に付点、アーティキュレーション、および調号に含まれていない臨時記号を選択する方法を説明しています。ただし、これらは音符の入力後に指定することもできます。この設定を変更する場合、手順 4 ~ 6 の前に手順 7 と 8 を実行する必要があります。

  • デュレーションより先にピッチを設定してタブ譜に音符を入力する場合は、音符パネルで音符のデュレーションをクリックして選択する必要があります。

  • 入力した音符の間には適切なデュレーションの暗黙の休符が自動的に表示されるため、音符の間に休符を入力する必要はありません。同様に、音符は必要に応じて自動的にタイのつながりとして表示されるため、タイを入力する必要はありません。

  • また、音符の入力を無効にすることなく、音符と一緒に記譜記号も入力できます。

前提

  • 適切なピッチの入力設定を選択しておきます。

  • 適切な音符に基づく記譜記号の入力設定を選択しておきます。

  • 音符の入力に使用する MIDI デバイスを接続しておきます。

  • 1 人のプレーヤーに割り当てられた複数のインストゥルメント、またはスコアのページビューでは非表示のインストゥルメントに音符を入力する場合は、「ギャレービュー (Galley View)」を選択しておきます。

  • 楽譜に調号が必要な場合は、その調号を入力しておきます。

手順

  1. 以下のいずれかの操作を行なって、音符の入力を開始します。
    • 譜表上の音符を入力する位置にある音符または休符を選択して、[Shift]+[N] を押します。

      補足

      強弱記号などの記譜記号を選択した状態で [Return] を押すと、音符の入力は開始せず、選択に対応するポップオーバーが開きます。

    • 音符を入力する譜表をダブルクリックします。

  2. 以下のいずれかの操作を行なって、「ピッチをデュレーションの前に指定 (Pitch Before Duration)」をオンにします。
    • [K] を押します。

    • 音符ツールボックスの「ピッチをデュレーションの前に指定 (Pitch Before Duration)」 をクリックします。

  3. 複数の譜表に同時に音符を入力する場合は、それらの譜表にキャレットを伸ばします。
  4. 臨時記号が調号に含まれていないピッチを入力する場合は、適切な臨時記号を選択します。
  5. 必要に応じて、使用するアーティキュレーションを選択します。
  6. 必要に応じて、使用する付点を選択します。
  7. 以下のいずれかの操作を行なってピッチを選択します。
    • コンピューターのキーボードで対応する文字を押します。

      ヒント

      直前に入力した音符からの間隔が一番小さい音域の音符が自動的に選択されます。ただし、別の音域を強制することもできます。

      • 直前に入力した音符の上に音符を入力するには、[Shift]+[Alt/Opt] を押しながら音符を表わすアルファベットを押します (例: [Shift]+[Alt/Opt]+[A])。

      • 直前に入力した音符の下に音符を入力するには、[Ctrl]+[Alt] (Windows) 又は [Ctrl] (macOS) を押しながら音符を表わすアルファベットを押します (例: [Ctrl]+[Alt]+[A] (Windows) 又は [Ctrl]+[A] (macOS))。

      ピッチをデュレーションの前に指定して音符を入力する場合、これらのキーボードショートカットを複数回押して上または下のオクターブを選択できます。

    • 音符を入力する位置の譜表をクリックします。

      音符を入力する位置にマウスを合わせると、シャドー符頭が表示されます。

    • MIDI キーボードで音符を演奏します。

    ピッチを選択すると、対応するピッチのシャドー音符がキャレットの位置に表示されます。ピッチは選択したあとに解除できます。

  8. 以下のいずれかの操作を行なって、音符のデュレーションを選択して音符を入力します。
    • 入力するデュレーションに対応する数字キーをコンピューターのキーボードで押します。

      たとえば、4 分音符の場合は [6] を押します。8 分音符の場合は [5]、16 分音符の場合は [4] のように、短いデュレーションを入力するには小さい数字を押します。2 分音符の場合は [7] のように、長いデュレーションを入力するには大きい数字を押します。

    • 音符パネルで、入力するデュレーションをクリックします。

      補足

      タブ譜に音符を入力する場合は、音符パネルでデュレーションをクリックする必要があります。

  9. 必要に応じて、[Space] を押すと音符を入力することなく現在選択されている音符のデュレーションの分だけキャレットを進めることができます。
    ヒント

    別の方向および別の移動幅でキャレットを動かすこともできます。

  10. [Esc] または [Return] を押して音符の入力を無効にします。

結果

初期設定では、音符はキャレットの位置またはクリックした位置に選択したデュレーションで入力され、入力に合わせて再生されます。ピッチは調号に従います。たとえば、G メジャーで [F] を押すと自動的に F が入力されます。

付点またはアーティキュレーションを選択した場合は、それらを無効にするまでその設定で音符が入力されます。ただし、調号に含まれていない臨時記号は、選択したあとに入力する最初の音符にのみ追加されます。

Dorico Pro は、デュレーション、現在の拍子記号、小節内の音符の位置に応じて、自動的に音符を適切に記譜し、連桁で連結します。これには、必要に応じて音符をタイのつながりとして表示することも含まれます。

音符を入力せずにキャレットを進めると、Dorico Pro は音符間の間隔を適切なデュレーションの暗黙の休符で埋めます。

フレット楽器に属する音符の譜表に音符を入力すると、ナットに最も近い位置で演奏できる弦に自動的に音符が割り当てられます。この計算は音符ごとに個別に行なわれるため、複数の音符が同じ弦に割り当てられることがあります。同様に、MIDI キーボードを使用してデュレーションより先にピッチを設定してタブ譜に和音を入力すると、和音のすべての音符が同じ弦に割り当てられます。このような場合、タブ譜では音符が隣り合わせに表示され、色は緑になります。これらの音符はあとから個別に選択して弦を独自に割り当てることができます。

ヒント
  • 音符を入力する際にピッチをデュレーションの前に指定するか後に指定するかは、[K] を押すか「ピッチをデュレーションの前に指定 (Pitch Before Duration)」 をクリックしていつでも切り替えることができます。デュレーションをピッチの前に指定する方法は、たとえば同じデュレーションの音符を連続して入力する場合に便利です。

  • 「記譜 (Write)」 > 「記譜オプション (Notation Options)」では、デフォルトの連桁、音符、休符のグループ化の設定をフローごとに個別に変更できます。個々の拍子記号内のカスタム連桁グループを指定することもできます。

  • 音符を入力する際にピッチをデュレーションの前に指定するか後に指定するかのデフォルト設定は、「環境設定 (Preferences)」「音符の入力と編集 (Note Input and Editing)」ページで変更できます。

手順終了後の項目

音符は入力後に異なるリズム上の位置や別の譜表に移動できます。

符頭に個別に括弧を表示することもできます。