大きな拍子記号

大きな拍子記号は、譜表に対するサイズが標準よりずっと大きい、スケールアップされた拍子記号です。これはオーケストラのスコアで役に立ちます。譜表サイズが小さいことから拍子記号も標準のままだと小さく、指揮者にとって読みづらくなるからです。

大きな拍子記号は、映画音楽のスコアでも非常によく使用されます。これは、指揮者が録音セッションまでのスコアの準備に多くの時間をかけられることがまれであるためです。大きな拍子記号を使用すると、ページ上で拍子の変更がはっきり見やすくなります。特に拍子が何度も変更される場合に有効です。

Dorico Pro では、大きな拍子記号を以下の配置で表示できます。

  • 大括弧のグループごとに 1 つ

  • 譜表の上の組段オブジェクトの位置

大括弧のグループごとに 1 つ表示される拍子記号

譜表ごとに譜表と同じ高さの拍子記号を表示するかわりに、譜表の大括弧によるグループごとに 1 つの大きな拍子記号を表示できます。大括弧のグループごとに 1 つ表示される場合、拍子記号は大括弧によるグループに属する譜表の数に応じて拡大されます。拍子記号のサイズは、大括弧のグループに 4 つ以上の譜表が含まれるとき最大になります。1 つの譜表に表示される場合、大きな拍子記号は譜表の上下に少しずつはみ出します。これは映画音楽の録音セッション用のパート譜で一般的に使用されるものです。

1. 大括弧のグループごとに 1 つ表示される「ナローセリフ (Narrow, serif)」の拍子記号

大括弧のグループに属する譜表の数ごとの拍子記号のサイズは、「浄書 (Engrave)」 > 「浄書オプション (Engraving Options)」「拍子記号 (Time Signatures)」ページで変更できます。また、大きな拍子記号を表示するときに、金管楽器の大括弧と弦楽器の大括弧にあるすべての譜表 (打楽器、ハープ、ピアノが含まれる場合が多い) を 1 つの大括弧とみなして扱うか、個別に扱うかを選択できます。

大括弧のグループに表示される大きな拍子記号は、表示倍率が高く、標準の拍子記号のデザインを使用しているときは特に、水平方向のスペースを大きく占める場合があります。そのため、大括弧のグループに大きな拍子記号を表示するレイアウトにおいては、ナローデザインの拍子記号の使用をおすすめします。

組段オブジェクトの位置に表示される拍子記号

大括弧のグループごとに大きな拍子記号を 1 つ表示するのと似た形で、譜表の上の組段オブジェクトの位置のみに拍子記号を表示することもできます。このとき組段ごとの拍子記号の表示位置は、リハーサルマークやテンポ記号など他の組段オブジェクトの位置を制御するのと同じオプションによって制御されます。

2. 組段オブジェクトの位置に表示される「標準 (Normal)」の拍子記号

組段オブジェクトの位置に表示される拍子記号は水平方向のスペースを占めないため、これにナローフォントスタイルを使用する必要はそれほどありません。またこれは、拍子記号の前後の音符間の水平距離も減らします。音符のスペーシングに与える影響が少ないため、この拍子記号の配置法は 20 世紀以降の現代音楽においてよく使用されるようになりました。

組段オブジェクトの位置に表示する拍子記号に音符による分母のスタイルを使用している場合、音符は分子の下ではなく右に表示されます。

初期設定では、組段オブジェクトの位置の拍子記号は標準の拍子記号の 2 倍のサイズとなり、同じ位置の他のアイテムは強制的にその右に表示されます。この表示倍率と、同じ位置にある他アイテムのデフォルトの位置は、「浄書オプション (Engraving Options)」「拍子記号 (Time Signatures)」ページで変更できます。また、小節線に対する整列方法も変更できます。