タイの一般的な配置規則

タイは 2 つの符頭を連結するため、タイの両端はそれがつなぐ符頭の近くに配置されます。

タイは曲線であり、カーブ方向は通常、音符の符尾の方向に従います。音符の符尾が上向きならタイのカーブは下向きに、音符の符尾が下向きならタイのカーブは上向きになります。

補足

譜表に複数の声部が存在する場合、符尾が上向きの声部に属するタイはすべてカーブが上向きに、符尾が下向きの声部に属するタイはすべてカーブが下向きになります。

タイの終端の符頭に対する配置には、主要な表記規則が 2 つあります。1 つは、タイの終端を符頭の外側、つまり上か下に配置し、水平方向をなるべく符頭に中央揃えとすることです。もう 1 つは、タイの終端を符頭の間に配置する場合、垂直方向をなるべく符頭に中央揃えとすることです。

1. 符頭の外側のタイ
2. 符頭の間のタイ

いずれの表記規則においても、Dorico Pro は自動的にタイの終端とそれがつなぐ音符を、他の記譜記号と衝突しない範囲でできるだけ近づけて配置します。

また Dorico Pro はタイの垂直位置も自動的に調整して、タイの終端やカーブの頂点が譜表線の高さで開始または終了しないようにします。もし譜表線とタイの上下が重なった場合、タイの形状が歪んで見え、譜面が読みづらくなります。

これを防止するため、Dorico Pro はタイの垂直位置をわずかに変更したり、タイのカーブに小さな変化を与えたりします。これらの変更は小さなものですが、譜表線に対する音符の位置に従いタイの配置が微妙に変化します。

3. 符頭の外側のタイ
4. 音符を半音下に移調すると、タイの頂点が譜表線に接してしまうのを防止するために、タイのカーブが急になります。
5. この符頭間のタイは、その両端または頂点が譜表線に近づきすぎないように、両端が符頭の垂直方向の中心よりもわずかに上に配置されています。
6. 上に移調して譜表線とタイが衝突しなくなると、タイの両端は符頭の垂直方向の中心に配置されるようになります。

音部変更記号は、できるだけタイのつながりの途中には配置しないようにします。音部の変更はタイでつながれた音符の譜表上の位置を変えてしまうため、演奏者がタイをスラーと読み違えて異なる 2 音を演奏してしまうことが容易に起こり得ます。

タイが極めて短いときはタイが歪んで見え、見落とされてしまう場合があります。1 段に収まるタイの長さの最小値は、「浄書 (Engrave)」 > 「浄書オプション (Engraving Options)」「タイ (Ties)」ページで変更できます。

補足

スラーをタイと混同しないよう注意してください。見た目は似ていますが、タイは同じピッチの音符を一息で演奏することを示します。そういった意味でタイはリズム記号として、スラーはアーティキュレーションとして捉えることができます。