再生時のトリル

Dorico Pro はトリルを再生する際、用意されている場合はサンプリングされたトリルと、複数の音符の発音とを組み合わせて使用します。

  • トリルの再生に関する設定は、「再生 (Play)」 > 「再生オプション (Playback Options)」「トリル (Trills)」ページにあります。

演奏技法が VST エクスプレッションマップに定義されている場合、Dorico Pro は自動的にサンプリングされた半ステップ (半音) および 1 ステップ (全音) のトリルを再生します。これは HALion Symphonic Orchestra のインストゥルメントの多数に該当します。サウンドライブラリーにサンプリングしたトリルが提供されていない場合、またはトリルの音程が 1 ステップより大きい場合、Dorico Pro はトリルを生成します。プロジェクトの一部に生成でしか再現できないトリルの音程が含まれる場合、サンプリングされたトリルを無効化して生成されたトリルを全体に使用することで、再生結果に統一感を出すこともできます。

生成されたトリルを演奏するとき、Dorico Pro はトリルの直前および直後にある装飾音符を組み込んで再生します。トリルの開始音にスラッシュなしの装飾音符 1 つが付くとアポジャトゥーラの効果となる一方、複数の装飾音符が付くとトリルのパターンに一体化されます。トリルの直後の音符に付く装飾音符もまたトリルのパターンに一体化されます。

1. 開始位置と終了位置の両方に装飾音符が付いたトリル

トリル中の速さの変更は再生に反映されます。遅い、通常、および速いトリルのデフォルトの再生速度は、「再生オプション (Playback Options)」「トリル (Trills)」ページで指定できるとともに、個々のトリルについても再生速度を変更できます。さらに、トリルの延長線における速さの変化指示を非表示にしつつ、再生における速さの変化は保持できます。

現代の演奏上の習慣では、トリルの演奏は通常記譜された音符から始まりますが、バロックと古典派時代の歴史的な演奏上の習慣では、トリルの演奏は通常上 (トリル先) の音符から演奏を開始します。トリルの開始音は個別に変更できるとともに、デフォルトの設定も変更できます。

もう 1 つ、特にロマン派のピアノ音楽において一般的な演奏上の習慣としては、すべてのトリルをアッチェレランド、つまりゆっくり始まってトリル中に徐々に速くしていくことが挙げられます。この設定は、「再生オプション (Playback Options)」「トリル (Trills)」ページで選択できます。これは速さの変更が指示されていないすべてのトリルに適用されます。