歌詞の位置

Dorico Pro は歌詞の配置と、さまざまな長さの歌詞を収めるための調整を自動的に行ないます。これにはメリスマ様式の楽譜における歌詞の水平位置の調整も含まれます。一方で、手動による歌詞の移動や、プロジェクト全体のデフォルト位置の変更もできます。

歌詞の位置は記譜モードで移動できます。これは初期設定では、「浄書オプション (Engraving Options)」で設定した位置に配置されます。

個々の歌詞の表示位置は浄書モードで移動できますが、適用されるリズム上の位置がこれによって変更されることはありません。

補足

Dorico Pro では、歌詞の水平位置は自動的に調整され、音符のスペーシングの変化を最小化します。長い音節でも音符のリズム上の外観をゆがめることなく配置できるように、音節は左右に小さく移動されます。

浄書モードで歌詞の表示位置を移動すると、選択した歌詞の自動スペーシングが上書きされます。位置が自動調整された歌詞を移動すると、その位置の音符のスペーシングが変わる場合があります。

「設定 (Setup)」 > 「レイアウトオプション (Layout Options)」「音符のスペーシング (Note Spacing)」ページおよび「音符のスペーシングの変更 (Note Spacing Change)」ダイアログにある「歌詞用のスペースを作成 (Make space for lyrics)」オプションを使用すると、音符のスペーシングの計算に歌詞を反映しないようにできます。ただし、このオプションは注意して使用することをおすすめします。

歌詞のデフォルト位置に関するプロジェクト全体の設定は、「浄書オプション (Engraving Options)」「歌詞 (Lyrics)」のページで変更できます。

「浄書オプション (Engraving Options)」「歌詞 (Lyrics)」のページにおける歌詞のデフォルト設定は、スコアのスペーシングを読みやすくするために最適化されています。プロジェクトの音符のスペーシングを狭くして、各音符の空間を小さくする場合は、この設定を変更します。これにより、浄書モードで編集する量を抑えつつ、分かりやすく読みやすい楽譜にできます。

水平方向のスペースが少ないスコアにおいては、以下の変更を加えることにより、歌詞の外観やリズムに即したスペーシングが改善される場合があります。

  • 「浄書オプション (Engraving Options)」「歌詞 (Lyrics)」のページの「ハイフン (Hyphens)」のセクションで、歌詞とハイフンとの最小間隔など、間隔の最小値を小さくします。

  • 「浄書オプション (Engraving Options)」「歌詞 (Lyrics)」のページの「スペーシング (Spacing)」のセクションで、歌詞の位置調整を行なえる幅を増加させます。

音節の位置

音節または単語の中で歌われる音符の数により、歌詞の配置が次のように決定されます。

  • それ自体が単語であるか、より長い単語の部分である 1 つの音節が 1 つだけの音符に乗せて歌われる場合、対応する音符に中央揃えで配置されます。

  • 2 つ以上の音符に乗せて歌われる音節または単語 (メリスマ) は、それが属する最初の音符の左側に左揃えで配置されます。

歌詞のラインの配置

歌詞は、そのライン番号に従い、他の歌詞のラインとの相対的な関係において配置されます。たとえば、ライン 1 の歌詞は 1 番上に配置されます。これは複数の歌詞のラインが譜表の上にある場合も含まれます。

あるラインの歌詞が 1 つの組段中に存在しない場合、他の歌詞のラインの間に間隔は追加されません。

個々の歌詞のラインを垂直方向に移動することもできます。浄書モードで歌詞のラインに含まれる任意の歌詞を選択すると、その組段のラインの最初の一語の左下に四角いハンドルが表示されます。これを使用すると、他の歌詞のラインとは個別に歌詞のラインの垂直位置を調節できます。

1. 浄書モードで歌詞のラインの開始位置で四角いハンドルを選択した状態

3 行の歌詞があるが、ある組段においては 2 行めの歌詞がない場合。この組段では、3 行めの歌詞は上に移動し、1 行めの歌詞に近づけられます。

次の組段では 1 行めがなく、しかし 2 行めと 3 行めはある場合、歌詞の 2 行めと 3 行めが上に移動されます。歌詞の 2 行めが 1 行めの位置に取って替わります。