より大きなネットワークを構築する

コンピューターの数が増えても、2 台のコンピューターでの設定よりもずっと難しくなるわけではありません。大事なポイントは、VST System Link がデイジーチェーンのシステムであるということです。言い換えれば、コンピューター 1 のオーディオ出力はコンピューター 2 の入力に送られ、コンピューター 2 のオーディオ出力はコンピューター 3 の入力に送られ...というように、チェーンが 1 周します。ネットワークの「リング」を完成させるため、チェーンの最後となるコンピューターのオーディオ出力を、必ずコンピューター 1 の入力に戻す必要があります。

このリングが完成すると、すべてのトランスポート、同期信号、そして、ネットワーク全体でのMIDI データの送信が、ほぼ自動的に行なわれます。しかし、大きなネットワークで混乱しやすいのは、メインミックス用のコンピューターに戻すオーディオ信号の出力方法です。

たくさんの入出力端子を装備した ASIO 対応オーディオデバイスを使用している場合は、オーディオ信号を必ずしもネットワーク経由で出力する必要はありません。ネットワーク以外のポートをひとつ、または複数使って、メインミックス用のコンピューターに直接、出力することができます。たとえば、Nuendo Digiset インターフェース、または Nuendo 96/52 オーディオデバイスをコンピューター 1 で使用している場合は、ADAT-1 をネットワークに、ADAT-2 をコンピューター 2 からのオーディオ入力に、ADAT-3 をコンピューター 3 からのオーディオ入力に使用できるでしょう。

オーディオを直接出力するのに必要なハードウェア I/O がない場合は、VST System Link ネットワーク経由でオーディオを出力することもできます。たとえば、4 台のコンピューターがあるとして、コンピューター 2 からのオーディオ出力を、コンピューター 3 のミキサーチャンネルに入力し、そこからコンピューター 4 のミキサーチャンネルに入力し、これをコンピューター 1 のマスターミキサーに戻すことができます。この構成をきちんと設定するには、確かに、ある程度の経験や知識が必要でしょう。このため、高度な VST System Link ネットワークを構築する場合は、一般的に、少なくとも 3 組のデジタル I/O を備えた ASIO 対応オーディオデバイスを使用することをおすすめします。